共産主義は富を創り出す「資本」を国家のもの(もしくは国民共有のもの)として 創り出された富を国民全員で公平に分けるという思想です。
さて、富を創り出す資本とは何でしょうか?
現代風に言えば経営資源です。 経営資源とはヒト(労働力など)、モノ(設備など)、カネ(資金など)に加えて情報(世の中の情報やアイデアなど)でしょう。
さて、富を創り出す資本=経営資源を国家のものにする、又は国民共有のものにする、とは具体的にはどういう事でしょう?
ヒト、モノ、カネ、情報を一旦は全て確保しないと資本つまり経営資源を確保できない。確保できないと富を創り出す事が出来ない。確保するには強制力が必要です。
また、創り出した富を国民に分配するには強制力が必要です。
まず、経営資源の確保に強制力を使い、富の再分配に強制力を使う。
さて、強制力とは何か?法律を強制するのは警察でしょう。つまり警察の力、拳銃などでしょう。
ソ連になる前のロシアは帝政であり、いわゆる王侯貴族や金持ちが富を独占し、富を産み出す「資本」も独占し、私兵や軍隊を支配していましたから、その富や経営資源である「資本」を分配しろと言ってもスンナリはいきませんから、当然、戦闘が起こり、人が死にます。
つまり、国民が持つ富を創り出す源泉であるヒト、モノ、カネ、情報を強制的に取り上げて、強制的に富を創り出し、それを強制的に再分配するには、多大な警察力、軍事力が必要なのです。
また、全国民がヒト、モノ、カネ、情報を等しく差し出す必要があり、それが不公平であるかどうかは国民からの情報が必要であり、必然的に密告し、監視する社会になります。
実例としてソ連の豊かな農民を粛清、虐殺した「クラーク撲滅運動」⬇︎
この為、ソ連のスターリンや中共の毛沢東やカンボジアのポルポトは自国民を監視して、相互監視と密告させて、共産主義に賛成しない(と思われた)人々を何千万人、累計何億人も虐殺しました。粛正です。
因みに戦前のドイツは国家社会主義ドイツ労働者党の独裁政権ですが、これがナチスの語源となっています。 Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei
共産主義に必要な全体主義を、共産主義と言わずに実現したのがナチスです。
さて、警察力が非常に強く、相互監視と密告、今なら監視カメラやSNS監視、カメラ監視、AIによる監視が行き渡ってようやく富を創り出し分配する体勢が整いますが、本当に富を創り出せるのは、警察力と監視と密告ではありません。
新しいサービスやモノを創り出すに必要なのは人々の意欲、例えばお金を稼ぎたい、人に認められたい、世の中の役に立ちたいという意欲ですが、共産主義国ではこれは上手く行かなかった。
どうせ分配が公平ならば、自分が考えたり、苦労したりする必然性は無いと考える人が多くても不思議はありません。
実際にソ連も中共も共産主義で経済運営に失敗しました。ソ連は崩壊し、中共は鄧小平が資本主義を取り入れて「先に豊かになれる人はなりなさい」と言って、資本主義を混ぜた全体主義をやって党幹部などの優遇、腐敗を生み出しつつ、経済成長する事で国民の不満を逸らして、独裁政権を維持しています。
しかし、党幹部が共産主義を指導する為には、良い環境で健康的な生活、安全な生活、良い教育、良い医療などの確保が無いと出来ません。日本共産党の幹部も非常に良い暮らしをしています。これが平等とは言えない社会になり、「共産主義と言いながら党幹部だけ良い生活をするのか!」という不満と不信を生みます。現実に中共では農村部を中心に毎日、暴動が起きています。これを鎮圧しているのも警察や軍隊です。
なので純粋な意味での共産主義は殆ど成立し得ないというのが、人類が千年以上かけて得た実績というか教訓でしょう。
共産主義とはまさしく「絵に描いたモチ」「永久機関」のようなモノで夢想は出来るが実現は出来ない、実現するには大きな悪を行わないと出来ないという「悪の思想」となります。
もっとも、あなたも何千万人の国を、警察力や監視、密告無しにヒト、モノ、カネ、情報を差し出させて、人々に最高に意欲的に仕事をさせて富を生み出させて、それを公平に強制的に再分配させる方法を考えついたら共産主義を目指せるかも知れませんね。